Beginner's Guide
はじめてのSHISHAMO 入門ガイド
高校の軽音楽部から始まり、紅白歌合戦や日本武道館、そして地元川崎の等々力陸上競技場へたどり着いたSHISHAMO。恋と日常を3人のバンドサウンドで歌い続けた約16年の歩みを、初めて聴く人向けにたどります。
Introduction
はじめに
SHISHAMOは、宮崎朝子、松岡彩、吉川美冴貴の3人からなる川崎生まれのロックバンドでした。2026年6月14日に活動を終えているため、いまは作品を通して全体像を見渡せる状態にあります。アルバム、配信シングル、コンセプト作品、アコースティック作品と形はさまざまで、どこから聴けばよいか迷う人も多いはずです。このガイドでは、最初に聴く一曲、最初に手に取る一枚、気に入ったあとの広げ方、そして好みに応じた道筋を順に紹介します。ここで扱う事実は、バンド自身の公式コメントを伝えた音楽メディアの記事と、百科事典的な資料にもとづいています。
01
SHISHAMOとはどんなバンドか
SHISHAMOは2010年、神奈川県川崎市の高校の軽音楽部で生まれました。ボーカルの宮崎朝子とベースの松本彩が先輩2人と組んだバンドに、同級生の吉川美冴貴が加わって3人になり、当時は漢字表記の「柳葉魚」を名乗っていました。名前は宮崎朝子の姉の発案で、漢字で書くとかっこいいのに読むとかわいいという理由だったそうです。2012年に全国の高校生バンドが集まる大会で優秀賞とボーカル賞を受賞し、これを機にSHISHAMOと表記を改めました。2013年11月にアルバム「SHISHAMO」でCDデビューし、2014年に松本彩が脱退して松岡彩が加わってからは、2026年の活動終了まで同じ3人で歩みました。作曲はすべて宮崎朝子が担当し、作詞もほとんどを手がけています。ギター、ベース、ドラムというシンプルな編成で、恋する気持ちや日常のささやかな揺れを描く曲を多く残したバンドです。2025年9月27日には、翌年6月の等々力陸上競技場2DAYSをもって活動を終えると発表し、約16年の歴史に区切りをつけました。
聴くポイント
- — 3人編成ならではの輪郭のはっきりしたバンドサウンド
- — 恋愛や日常を描く、わかりやすい言葉の歌詞
- — 高校の軽音楽部から続く地元川崎との結びつき
こんな人におすすめ
- — J-POPやJ-ROCKのガールズバンドに興味がある人
- — 学生時代の気持ちを思い出せる曲を探している人
ネクストステップ
まずは代表曲として知られる「明日も」を聴き、そこからデビュー期の作品へさかのぼってみてください。
02
最初の一曲は「明日も」
初めて聴くなら、多くの人に届くきっかけとなった「明日も」がいちばんの入口です。この曲は、地元川崎のプロサッカークラブ、川崎フロンターレのサポーターの姿から着想を得て作られました。2017年にNTTドコモのCMソングとなり、川崎フロンターレの応援歌としても使われています。ミュージックビデオはフロンターレの本拠地である等々力陸上競技場で撮影されました。同年末にはNHK紅白歌合戦に初出場し、高校生のホーン隊と共演した特別バージョンで披露しています。スタジアムで戦う誰かを見て自分も背中を押される、という視点が、バンドの身近で前向きな魅力をよく表しています。この曲は、アルバム「SHISHAMO 4」やベスト盤「SHISHAMO BEST」で聴くことができます。2025年には宮崎朝子が休養中の吉川美冴貴を気づかう形で作られた別バージョン「明日も(IKUSHAMO ver.)」も配信されています。バンドが最後に等々力陸上競技場でワンマンライブを行ったことを思うと、この曲は活動の始まりから終わりまでをつなぐ象徴のように響きます。
聴くポイント
- — 日常の風景がそのままスタジアムの応援歌に重なる歌詞
- — 等々力陸上競技場とのつながり
- — サビに向けて気持ちが持ち上がっていくメロディ
こんな人におすすめ
- — 仕事や勉強の前に気持ちを前に向けたい人
- — サッカーのスタジアムの熱気が好きな人
ネクストステップ
気に入ったら、同じアルバムに入っている「夏の恋人」や「メトロ」へ進むと、SHISHAMOの恋愛ソングの魅力に触れられます。
03
最初の一枚はベスト盤かデビュー作か
一枚から入るなら、2019年のベスト・アルバム「SHISHAMO BEST」が手に取りやすい選択です。デビューから約5年間の代表曲が集まっており、「君と夏フェス」「量産型彼氏」「熱帯夜」「君とゲレンデ」「夏の恋人」「BYE BYE」「ほら、笑ってる」「水色の日々」「明日も」「OH!」などが収録されています。バンドの変化を時系列で追えるため、初めての人にも向いています。一方で、アルバムとしての統一感を味わいたい人には、2013年のデビューアルバム「SHISHAMO」も魅力的です。高校時代の勢いが残る初期の作品で、「僕に彼女ができたんだ」を収録しています。この曲は、2026年のラストライブの最後に演奏されたと伝えられています。もう少し洗練された3人の演奏を聴きたいなら、2018年の「SHISHAMO 5」はオリコン最高3位を記録した作品で、「水色の日々」「ほら、笑ってる」「BYE BYE」などが入っています。まずベスト盤で全体を見渡し、気になった時期のオリジナルアルバムへ進む流れが無理のない道筋です。
聴くポイント
- — 初期から中期までの代表曲を一度に聴ける構成
- — デビュー作に残る高校時代の瑞々しさ
- — オリジナルアルバムとしての完成度が高まった時期の作品
こんな人におすすめ
- — まず代表曲を一通り聴いてみたい人
- — アルバム単位でバンドの空気を味わいたい人
ネクストステップ
ベスト盤で好きな曲を見つけたら、その曲が入った元のアルバムやシングルを探してみてください。
04
歌詞の魅力は短編漫画のような物語
SHISHAMOの歌詞を語るうえで欠かせないのが、宮崎朝子の物語の作り方です。彼女は漫画家に憧れていた時期があり、歌詞も短編漫画のようになるよう意識していると語っています。実体験として書く曲はほとんどなく、架空の主人公を置いて、その子がどんな性格でどこに住んでいるのかを考えながら話を膨らませていくそうです。また、わかりやすさを重んじ、難しい横文字や調べないとわからない言葉はあまり使わないようにしているとも述べています。そのため、曲のタイトルからして場面が浮かびやすいのが特徴です。「君と夏フェス」「量産型彼氏」「君とゲレンデ」「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」など、一つの出来事や感情に焦点を当てた題名が並びます。ここで挙げた作詞の姿勢は本人発言であり、聴き手がどう感じるかは人それぞれです。恋の始まりの浮き立つ気持ちも、うまくいかない切なさも、飾らない言葉で描かれているので、初めて聴く人でも情景をつかみやすいはずです。歌詞カードを見ながら、主人公がどんな人物かを想像してみるのも楽しみ方の一つです。
聴くポイント
- — 一曲ごとに主人公と場面がはっきりしている構成
- — 会話のように届く、平易で親しみやすい言葉
- — タイトルから物語の入口が見えること
こんな人におすすめ
- — 歌詞をじっくり味わうのが好きな人
- — 漫画や短編小説のような物語性のある曲が好きな人
ネクストステップ
物語性をさらに深く味わうなら、恋の場面を多数集めたコンセプトアルバムへ進んでみてください。
05
タイアップとライブで広がった活動
SHISHAMOは、さまざまなタイアップを通して多くの人に曲を届けてきました。「ほら、笑ってる」は映画『ミックス。』の主題歌と挿入歌で、映画のために楽曲を書き下ろしたのは初めてでした。2018年の「水色の日々」は、カルピスウォーター、ダイナミックJTB、三井住友カードのCMソングという3つのタイアップ曲を収めたシングルです。2019年の「君の隣にいたいから」は、NHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲として制作されました。2023年の「わたしの宇宙」はテレビ東京系ドラマ『姪のメイ』のオープニングテーマで、ドラマ主題歌の書き下ろしは初でした。2025年の「自分革命」はテレビアニメ『花は咲く、修羅の如く』のオープニング主題歌で、アニメの主題歌を担当するのも初でした。ライブ面では、2016年に日本武道館で初のワンマン公演を行い、2023年にはCDデビュー10周年を記念して武道館、大阪城ホール、ぴあアリーナMMで公演を開きました。2018年と2020年に予定されていた等々力陸上競技場での公演は、台風とコロナ禍で中止となり、2026年にようやく実現しました。曲の背景にある場面を知ると、聴こえ方も少し変わってきます。
聴くポイント
- — 映画、ドラマ、アニメ、CMなど多様なタイアップ
- — 学校行事やスタジアムとのつながり
- — ライブの場で積み重ねてきた実績
こんな人におすすめ
- — 好きな映画やドラマ、アニメの主題歌からバンドを知りたい人
- — 曲の背景や制作の経緯が気になる人
ネクストステップ
気になるタイアップ曲が見つかったら、同じ時期のアルバムやシングルのカップリング曲も聴いてみてください。
06
次に聴く作品への道筋
好きな曲が見つかったあとは、作品の形ごとに広げていくのがおすすめです。恋愛の場面をたっぷり味わいたいなら、2023年の「恋を知っているすべてのあなたへ」があります。CDデビュー10周年を記念したコンセプトアルバムで、全30曲が恋の喜びと痛みという二つの視点で並べられています。声と楽器の質感を近くで聴きたいなら、同じく2023年の「ACOUSTIC SHISHAMO」が向いています。「夏の恋人」「BYE BYE」「君と夏フェス」「明日も」などをアコースティックで再構成した初のアコースティック・アルバムです。作詞を3人全員で手がけたコンセプトEP「ブーツを鳴らして」は、普段と少し違う視点を知りたい人に向いています。バンドとしての最新の姿を聴くなら、約3年ぶりのオリジナルアルバムとして2024年に出た「SHISHAMO 8」があります。そして、メンバー自身が選曲した2026年のコンピレーション「SHISHAMOでした!!!」は、宮崎朝子盤、松岡彩盤、吉川美冴貴盤の3枚で構成されています。3人それぞれが自分のSHISHAMOを選んだ内容なので、活動を振り返る締めくくりとして聴くと味わい深い一作です。
聴くポイント
- — 恋を二つの視点で並べたコンセプトアルバムの構成
- — アコースティックならではの距離の近さ
- — メンバーそれぞれが選曲した3枚組の視点
こんな人におすすめ
- — お気に入りの曲を見つけたあとに深く掘り下げたい人
- — 同じ曲の違う表情を聴き比べたい人
ネクストステップ
好きな曲の年代に近いオリジナルアルバムを一枚選び、通して聴いてみてください。
07
終わりを迎えたバンドの魅力
SHISHAMOは、2026年6月14日の等々力陸上競技場公演で活動を終えました。本人たちは活動終了のコメントで、SHISHAMOを大切に思う気持ちと、完結に向かって歩んでいくという考えを語り、最後の場所として等々力が真っ先に浮かんだと明かしています。音楽ナタリーの記事やWikipediaの内容によれば、最終日には休養していた吉川美冴貴がダブルアンコールで登場し、3人がそろって演奏したとされています。バンドの魅力をひとことで言えば、特別な誰かではなく身近な誰かの気持ちを、誠実なバンドサウンドで歌い続けたことだと思います。高校の軽音楽部から始まった3人が、地元のスタジアムに立つまでの時間が、そのまま作品に刻まれています。活動は終わりましたが、アルバムや配信シングルは、時期ごとに違う顔を見せてくれます。最初は「明日も」から、次にベスト盤、そして気に入った時期のアルバムへ、というように自分のペースで進んでみてください。聴く順番に正解はなく、好きになった曲がそのまま入口になります。
聴くポイント
- — 活動全体を3人の視点で振り返れる選曲
- — 等々力陸上競技場へつながる物語
こんな人におすすめ
- — 完結したバンドの全体像を知りたい人
- — 学生時代や日常の気持ちに寄り添う曲を探している人
ネクストステップ
気に入った曲を軸に、自分なりのプレイリストを作りながら全体を聴き進めてみてください。
Choose Your Route
あなたの好みから選ぶ
まず代表曲をまとめて聴きたい
初めてで時間をかけたくない人は、ベスト盤と代表的なシングルから入るのが手軽です。

SHISHAMO BEST
デビューから約5年間の代表曲を収めたベスト・アルバムで、全体像をつかみやすい一枚です。

SHISHAMO 4
「明日も」を含むアルバムで、広く知られるようになった時期の空気を味わえます。
夏や恋の曲が好き
季節感と恋心が重なる曲を求めるなら、初期から中期のシングルが向いています。

君と夏フェス
1stシングルで、夏フェスを舞台にした恋心を描いた初期の代表曲です。

夏の恋人
5thシングルで、夏と恋を描いた人気曲を収録しています。

恋を知っているすべてのあなたへ
恋をテーマにした30曲を集めたコンセプトアルバムで、恋愛ソングを存分に楽しめます。
歌とバンドの音をじっくり聴きたい
アコースティックや最新のオリジナルアルバムで、演奏と歌の細部を味わえます。

ACOUSTIC SHISHAMO
代表曲をアコースティックで聴ける、10周年記念のアルバムです。

SHISHAMO 8
約3年ぶりのオリジナルアルバムで、後期のバンドの姿を知ることができます。
バンドの歴史を振り返りたい
活動の締めくくりに近い作品から、さかのぼって聴く道筋もあります。

SHISHAMO でした!!!
メンバーそれぞれが選曲した3枚組で、3人の視点から活動を振り返れます。

SHISHAMO
デビューアルバムで、バンドの出発点を知ることができます。
Career Flow
キャリアの流れ
SHISHAMOの活動は、高校時代の結成から、CDデビュー、武道館と紅白、10周年、そして活動終了までの大きな流れで捉えられます。
2010年から2013年 高校時代とCDデビュー
川崎総合科学高校の軽音楽部で結成し、2012年の高校生バンド大会で優秀賞とボーカル賞を受賞しました。自主制作盤を経て、2013年11月にアルバム「SHISHAMO」でCDデビューしています。
卒業制作
SHISHAMO
2014年から2016年 新体制と飛躍
2014年に松岡彩が加わり、現在の3人体制になりました。「君と夏フェス」や「量産型彼氏」などのシングルを出し、2016年には日本武道館で初のワンマン公演を行っています。
君と夏フェス
量産型彼氏
SHISHAMO 2
SHISHAMO 3
2017年から2019年 ヒットとアリーナ公演
2017年に「明日も」がNTTドコモのCMソングや川崎フロンターレの応援歌となり、NHK紅白歌合戦に初出場しました。2019年には初のベスト盤を出し、アリーナ公演も開催しています。
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5
SHISHAMO BEST
2020年から2022年 配信と新しい試み
コロナ禍では配信リリースや無観客の生配信ライブを行いました。2021年にはメンバー全員が作詞したコンセプトEPを配信し、2022年には初の対バンツアーを開いています。
SHISHAMO 6
SHISHAMO 7
ブーツを鳴らして
2023年から2024年 CDデビュー10周年
2023年にコンセプトアルバムとアコースティックアルバムを発表し、武道館、大阪城ホール、ぴあアリーナMMで公演を行いました。2024年には約3年ぶりのオリジナルアルバムを出しています。
恋を知っているすべてのあなたへ
ACOUSTIC SHISHAMO
SHISHAMO 8
2025年から2026年 完結に向けて
2025年9月27日に活動終了を発表し、2026年2月にメンバー選曲のアルバムを出してファイナルツアーを始めました。6月13日と14日の等々力陸上競技場公演で活動を終えています。
SHISHAMO でした!!!
自分革命
君に聞きたいひとつのこと
Conclusion
次の一曲へ
SHISHAMOは、等身大の言葉と3人のバンドサウンドで、恋や日常の気持ちを描き続けたバンドでした。活動は2026年6月に完結しましたが、作品は今も聴くことができます。まずは「明日も」から、そしてベスト盤へ。気に入った曲が見つかったら、その時期のアルバムや配信シングルへと広げてみてください。
参考情報
- SHISHAMO活動終了、ラストライブは等々力陸上競技場2DAYS — 音楽ナタリー (2025-09-27)
- SHISHAMOとは - わかりやすく解説 Weblio辞書 — Weblio辞書(ウィキペディア日本語版の転載)
- SHISHAMOのファイナルツアー「さよならボヤージュ!!!」開催決定 — 音楽ナタリー