Beginner's Guide

はじめてのサカナクション 入門ガイド

サカナクションを聴いたことがない方に向けて、代表曲やアルバム、タイアップ曲などから、このバンドの魅力を辿るためのガイドを紹介する。

サカナクション読了目安 5分

Introduction

はじめに

サカナクションは、文学性のある歌詞とロックバンドのサウンドにクラブミュージックやテクノを融合させた独自の音楽性で知られる、北海道札幌市出身の5人組バンドである。2007年のメジャーデビュー以来、ドラマやCM、映画、アニメなど数多くのタイアップ曲を送り出しながら、実験的なアルバム制作やライブハウス文化とのつながりを重視した活動も続けてきた。ここでは、初めて聴く人が迷わず入り口を見つけられるよう、代表曲、アルバム、タイアップ曲、ライブ文化、最新の動きという流れで紹介する。

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最初の一曲に「新宝島」

サカナクションを初めて聴くなら、まず2015年に発表された「新宝島」から入るのがわかりやすい。映画「バクマン。」の主題歌として書き下ろされた本作は、昭和の歌番組を思わせるレトロなミュージックビデオとともに世代を超えて広く親しまれ、SNSでも繰り返し話題になってきたバンドを象徴する一曲である。力強いアッパーなロックチューンでありながら、随所にクラブミュージック的なグルーヴが顔をのぞかせており、サカナクションというバンドが持つ二面性を最初に体感できる曲といえる。

聴くポイント

  • — アッパーなロックチューンの中に潜むダンスミュージック的グルーヴ
  • — 昭和の歌番組を思わせるレトロな演出とサウンドの対比
  • — 山口一郎による物語性のある歌詞世界

こんな人におすすめ

  • — 初めてサカナクションを聴く人
  • — ロックとダンスミュージックの両方が好きな人

ネクストステップ

この曲が気に入ったら、同時期にリリースされたシングルやEP、あるいは次章で紹介するアルバムへ進むとバンドの幅広さがより見えてくる。

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最初のアルバムを選ぶなら

アルバム単位でじっくり聴きたい場合は、2013年発売の6作目アルバム「sakanaction」から入るのがおすすめである。本作はバンド初のセルフタイトル作品で、オリコン週間アルバムランキングで初の首位を獲得し、同年末の「NHK紅白歌合戦」初出場にもつながった、バンドにとって大きな転換点となった一枚である。もう一歩踏み込みたい人には、2019年発売の7作目アルバム「834.194」も適している。タイトルは活動拠点だった札幌のスタジオと現在の東京のスタジオとの直線距離に由来し、親しみやすいシングル曲を中心としたディスク1と、内省的で実験的な楽曲を集めたディスク2という対照的な構成で、バンドの表と裏の両面を一度に味わえる作品となっている。

聴くポイント

  • — セルフタイトル作品としての完成度とバンドの折り返し地点
  • — 834.194ではディスク1と2で対照的なムードが展開される構成
  • — タイトルに込められた札幌と東京の距離という個人的なモチーフ

こんな人におすすめ

  • — アルバム単位でじっくり聴きたい人
  • — バンドのキャリアの厚みを知りたい人

ネクストステップ

アルバムで気に入った曲があれば、その曲が使われたタイアップの背景を知ることで、また違った聴こえ方を楽しめる。

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タイアップ曲から辿る魅力

サカナクションは結成初期から数多くのタイアップ曲を手がけてきたバンドでもある。バンド初のドラマ主題歌となった「僕と花」(ドラマ「37歳で医者になった僕~研修医純情物語~」主題歌)、モード学園のTVCMソングとして書き下ろされた「夜の踊り子」、フジテレビ系ドラマ「dinner」の主題歌「ミュージック」など、2012年前後には立て続けにタイアップ曲をシングルとして発表している。2021年以降のプロジェクトでは、参天製薬「サンテFX」のTVCMに山口一郎自身が出演した「プラトー」、映画「劇場版 ルパンの娘」主題歌「ショック!」を発表。タイアップという制約の中でも、バンドらしい文学性やサウンドの実験性を失わない楽曲づくりが続けられている点が、サカナクションのタイアップ曲の大きな魅力である。

聴くポイント

  • — タイアップの制約の中でも保たれるバンドらしい歌詞世界
  • — 楽曲ごとに異なるモード学園CM、ドラマ、TVCMという文脈の違い
  • — 参天製薬CMでは山口一郎自身がCMに出演するという珍しい起用のされ方

こんな人におすすめ

  • — ドラマやCMをきっかけにサカナクションを知った人
  • — 楽曲と映像作品の関係性に興味がある人

ネクストステップ

タイアップ曲に馴染んだら、次はライブやNFプロジェクトを通じてバンドの生演奏やクラブカルチャーとの結びつきに触れてみると理解が深まる。

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ライブとNFプロジェクト

サカナクションは、2010年にシングル「アイデンティティ」のヒットとともに初めての日本武道館ワンマン公演を成功させ、以降も全国ツアーが軒並みチケット完売となるなど、ライブバンドとしての評価も高い。2015年からは、音楽とファッション、アートを横断するプロジェクト「NF」を主宰し、東京・恵比寿のライブハウス「リキッドルーム」を拠点にした定期イベントを開催するなど、ライブハウス文化との結びつきを重視した活動を続けてきた。楽曲によっては、この「NF」のクラブイベントを歌詞の題材にしたものもあり、シングルやアルバムだけでは見えにくい、バンドとクラブカルチャーとの深い関係性がライブ活動を通じて浮かび上がってくる。

聴くポイント

  • — 武道館やアリーナ規模でも保たれるクラブミュージック的な高揚感
  • — NFプロジェクトを通じたライブハウス文化との結びつき
  • — 楽曲の歌詞に反映されるクラブイベントというモチーフ

こんな人におすすめ

  • — ライブ映像やライブ音源から聴き始めたい人
  • — バンドのクラブカルチャーとの関わりに興味がある人

ネクストステップ

ライブでの盛り上がりを知ったうえで、最新のシングルや現在進行中のツアーに目を向けると、今のサカナクションの姿がより立体的に見えてくる。

05

最新作と現在の姿

フロントマンの山口一郎は2022年から体調不良により活動を休止し、後に自身がうつ病であったことを公表している。約3年にわたる療養期間を経て、2025年2月にTVアニメ「チ。―地球の運動について―」のオープニング主題歌としてリリースされた新曲「怪獣」でバンドは本格的に活動を再開した。この「怪獣」は2026年6月開催の「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」において、最優秀楽曲賞、最優秀ロック楽曲賞、最優秀アニメ楽曲賞など関連スタッフを含む最多8部門を受賞し、山口は受賞スピーチで療養期間を支えてくれた周囲への感謝を語っている。同年9月には新曲「いらない」を収めたCDシングル「怪獣/いらない」をリリースし、全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM 2026-2027“透明”」を開催するなど、現在も精力的な活動を続けている。

聴くポイント

  • — 休養から本格復帰までの経緯と本人の言葉
  • — アニメ主題歌として初めて手がけた楽曲としての「怪獣」の位置づけ
  • — 2026年時点での受賞歴とツアー活動という現在進行形の姿

こんな人におすすめ

  • — 今のサカナクションの活動状況を知りたい人
  • — 休養と復帰の経緯を踏まえて聴きたい人

ネクストステップ

ここまでの流れを踏まえたうえで、気になった時代の作品に戻って聴き直すと、バンドの変化と一貫性の両方を楽しめる。

Choose Your Route

あなたの好みから選ぶ

エレクトロニックなダンスサウンドが好きな方

バンドサウンドとクラブミュージックの融合をより強く感じたい場合は、以下の作品から聴くのがおすすめである。

DocumentaLy

クラブミュージックやテクノの要素が色濃く反映されたアルバムで、バンドの実験的な一面を体感できる。

834.194

内省的でエレクトロニックな楽曲を集めたディスク2を中心に、より踏み込んだサウンドが楽しめる。

静かでエモーショナルなバラードが好きな方

落ち着いたテンポやメロディを重視した楽曲から入りたい場合は、以下のタイアップ曲がおすすめである。

プラトー

参天製薬のCMのために書き下ろされた、アルバム「アダプト」の世界観を象徴する一曲。

グッドバイ/ユリイカ

バンド初の両A面シングルに収められた壮大なバラードで、しっとりとしたサカナクションの一面が味わえる。

映画やドラマ、アニメの主題歌から入りたい方

映像作品との組み合わせでバンドを知りたい場合は、以下のタイアップ曲が入り口として適している。

怪獣

TVアニメ「チ。―地球の運動について―」のために書き下ろされた、バンド初のアニメ主題歌。

僕と花

バンド初のドラマ主題歌として書き下ろされた、ポップなメロディが印象的な楽曲。

王道のロックチューンが好きな方

ストレートなロックサウンドを求める場合は、以下の楽曲から聴くとバンドの勢いを感じやすい。

新宝島

世代を超えて親しまれてきた代表曲で、アッパーなロックチューンとしての側面が強い。

アイデンティティ

バンドの知名度を大きく広げた初期の代表曲で、フェスシーンを象徴するシングルとなった。

Career Flow

キャリアの流れ

サカナクションの歩みは、結成からメジャーデビューまでの助走期、ヒット曲とともに知名度を広げた飛躍期、実験的な作品作りとNFプロジェクトを展開した拡張期、フロントマンの療養による休止期、そして新曲「怪獣」からの再始動期という流れで捉えることができる。

  1. 結成からメジャーデビューまで(2005年~2007年)

    山口一郎を中心に北海道札幌市で活動を開始し、草刈愛美、岡崎英美、江島啓一を正式メンバーに迎えてサカナクションを結成。2007年にアルバム「Go to the Future」でメジャーデビューを果たした。

    GO TO THE FUTURE
  2. 知名度拡大期(2008年~2011年)

    EP「Arukuaround」や3作目シングル「アイデンティティ」のヒットを経て、2010年に初の日本武道館ワンマン公演を成功させた。翌2011年にはアルバム「DocumentaLy」を発表し、バンドサウンドとクラブミュージックを融合させた音楽性をより強く打ち出した。

    アルクアラウンド
    アイデンティティ
    DocumentaLy
  3. タイアップとブレイク期(2012年~2015年)

    「僕と花」「夜の踊り子」「ミュージック」など立て続けにタイアップシングルを発表し、2013年発売の6作目アルバム「sakanaction」でオリコン週間アルバムランキング初の首位を獲得。同年末には「NHK紅白歌合戦」に初出場した。2015年には映画「バクマン。」の主題歌「新宝島」と劇伴音楽を担当し、第39回日本アカデミー賞でロックバンドとして初めて最優秀音楽賞を受賞している。

    僕と花
    夜の踊り子
    ミュージック
    sakanaction
    新宝島
  4. NFプロジェクトと拡張期(2016年~2019年)

    資生堂「アネッサ」のCMソング「多分、風。」などを発表する一方、2015年から音楽とファッション、アートを横断するプロジェクト「NF」を主宰。2018年にはベストアルバム「魚図鑑」、2019年には7作目アルバム「834.194」を発表し、活動拠点の変遷をテーマにした作品作りを展開した。

    多分、風。
    魚図鑑
    834.194
  5. アダプトプロジェクトと療養(2020年~2024年)

    第1章「アダプト」、第2章「アプライ」の2部構成プロジェクトを始動し、「プラトー」「ショック!」などを配信リリースしてアルバム「アダプト」を発表した。しかし2022年、フロントマンの山口一郎が体調不良により活動を休止。本人は後にうつ病であったことを公表し、約3年にわたる療養期間に入った。

    プラトー
    ショック!
    アダプト
  6. 再始動と現在(2025年~)

    2025年2月、TVアニメ「チ。―地球の運動について―」のオープニング主題歌「怪獣」でバンドは本格的に活動を再開した。2026年6月開催の「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」で「怪獣」が関連スタッフを含む最多8部門を受賞し、同年9月には新曲「いらない」を収めたCDシングル「怪獣/いらない」をリリース。全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM 2026-2027“透明”」を開催するなど、現在も精力的に活動を続けている。

    怪獣
    いらない

Conclusion

次の一曲へ

サカナクションは、文学性のある歌詞とクラブミュージックを融合させた音楽性、数多くのタイアップ実績、そしてライブハウス文化との結びつきという複数の側面を持つバンドである。代表曲やタイアップ曲から気軽に聴き始め、気に入った時代のアルバムやライブ音源へと聴き進めていくことで、休止と再始動を経てなお進化を続けるこのバンドの現在地まで、無理なく辿り着くことができるはずである。

参考情報

  1. サカナクション - Wikipedia — Wikipedia
  2. 山口一郎 (歌手) - Wikipedia — Wikipedia
  3. サカナクション | プロフィール | ビクターエンタテインメント — ビクターエンタテインメント
  4. アイデンティティ (サカナクションの曲) - Wikipedia — Wikipedia
  5. 新宝島 (曲) - Wikipedia — Wikipedia
  6. 「新宝島」リリース10周年記念!新たな映像を初公開 — サカナクション公式サイト (2025-10-10)
  7. 活動休止中のサカナクション、『バクマン。』主題歌「新宝島」で再始動 — ORICON NEWS
  8. 834.194 - Wikipedia — Wikipedia
  9. 834.194 - サカナクションのアルバム - Apple Music — Apple Music
  10. サカナクション、新アルバム『834.194』ジャケットアートワーク公開 — Real Sound
  11. 【主要6部門】『MUSIC AWARD JAPAN 2026』最優秀楽曲賞はサカナクション「怪獣」が受賞 — Real Sound (2026-06-13)
  12. サカナクションが8冠 Mrs. GREEN APPLE、Fujii Kaze、HANAらが主要賞受賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』 — ぴあ音楽 (2026-06-15)
  13. 〈MUSIC AWARDS JAPAN 2026〉全78部門の結果を発表 サカナクション、ミセス、M!LK、藤井 風らが複数受賞 — Mikiki by TOWER RECORDS (2026-06-14)
  14. サカナクションの山口一郎が体調不良、ツアーやUnderworld対バンライブが延期に — 音楽ナタリー (2022-07-01)
  15. サカナクション約3年ぶりとなる新曲、アニメ『チ。 ―地球の運動について―』主題歌「怪獣」2月20日配信リリース! — リスアニ!
  16. サカナクション「怪獣」「いらない」シングル化決定、Corneliusと石野卓球がリミックスで参加 — bezzy (2026-07-07)
  17. サカナクション公式サイト|NF member — サカナクション公式サイト
  18. 新曲「怪獣」がTVアニメ「チ。 ―地球の運動について―」OP主題歌に決定 — サカナクション公式サイト
  19. sakanaction (アルバム) - Wikipedia — Wikipedia