Beginner's Guide
はじめての藤井風 入門ガイド
「何なんw」から世界のステージまで、独自の音楽性で駆け上がってきたシンガーソングライター、藤井風。ピアノひとつで人々の心を動かす繊細さと、ジャンルを超えて広がるソウルフルな表現力。ここでは、これから彼の音楽に触れる人に向けて、聴く順番のヒントと魅力のポイントを紹介する。
Introduction
はじめに
藤井風は1997年6月14日、岡山県生まれ。幼少期に父の影響でクラシックピアノを始め、12歳の頃からYouTubeにピアノカバー動画を投稿し始めたことが、音楽キャリアの出発点となった。2019年に活動拠点を岡山から東京へ移し、オリジナル楽曲の配信前から数々のライブを完売させるなど異例の注目を集める。2020年に「何なんw」のミュージックビデオ公開とともにデビューして以降、国内での大ヒットにとどまらず、タイやアジア各国での楽曲バイラル、米国ツアー、そして全編英語詞のアルバムまで、活動の幅を着実に世界へと広げ続けている。
01
藤井風ってどんなアーティスト?
藤井風は、幼少期からのクラシックピアノの素地を持ちながら、ジャズ、R&B、ソウル、ポップスなど幅広いジャンルを吸収して育ったシンガーソングライター。デビュー当初は岡山弁を交えた独特の歌詞世界と一人称「ワシ」が話題となり、都会的で洗練されたサウンドとのギャップも魅力のひとつとなった。ピアノ一台で7万人収容のスタジアムを満たす表現力と、緻密なコード進行を操る作曲センスの両方を兼ね備えている点が、多くのミュージシャンやリスナーから支持される理由となっている。
聴くポイント
- — 岡山弁を交えた歌詞世界と洗練されたサウンドのギャップ
- — クラシックピアノを土台にした独自のコード進行
こんな人におすすめ
- — 初めて藤井風の名前を聞いた人
- — ピアノが得意なアーティストに興味がある人
ネクストステップ
まずは代表曲「何なんw」を聴いて、その世界観に触れてみるのがおすすめ。
02
最初に聴くならこの1曲「何なんw」
藤井風の実質的なデビュー曲であり、公式サイトによれば「何なんw」のミュージックビデオが公開された2020年1月24日が正式なデビュー日とされている。楽曲は岡山県の方言で綴られた歌詞と一人称「ワシ」が特徴的で、都会的なサウンドとのコントラストが多くのリスナーに新鮮な驚きを与えた。オリジナル楽曲リリース前から東京、大阪でのワンマンライブが完売するなど、配信開始時にはすでに大きな注目を集めていた。
聴くポイント
- — 岡山弁で綴られたユニークな歌詞
- — 配信限定シングルながら即座に話題化したサウンド
こんな人におすすめ
- — 藤井風の原点を知りたい人
- — 個性的な日本語詞に興味がある人
ネクストステップ
次は「何なんw」が収録された1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』へ。
EP
何なんw EP
2020.01.24
作品を見る →配信・購入
03
最初のアルバムは『HELP EVER HURT NEVER』
2020年5月にリリースされた1stアルバム。「誰も傷つけず、ただ助ける」というメッセージが込められたタイトルで、コロナ禍の世界情勢のなかで発表された。Billboard Japanの総合アルバムチャートで1位を獲得し、同年10月には日本武道館での初のワンマンライブも成功させている。収録曲「死ぬのがいいわ」は、リリースから2年以上を経た2022年にタイを中心に世界的なバイラルヒットとなり、Spotifyのバイラルチャートで23の国と地域で1位を記録するなど、海外での知名度を一気に押し上げた楽曲でもある。
聴くポイント
- — 「誰も傷つけず、ただ助ける」というコンセプトを貫いたアルバム全体の統一感
- — 後に世界的ヒットとなる「死ぬのがいいわ」の初出
こんな人におすすめ
- — アルバム単位でじっくり聴きたい人
- — 海外でも話題になった楽曲の原点を知りたい人
ネクストステップ
話題性のある「死ぬのがいいわ」の海外での広がりも合わせてチェックしてみよう。
アルバム
HELP EVER HURT NEVER
2020.05.20
作品を見る →配信・購入
04
タイアップ曲から入るのもおすすめ
藤井風は、ドラマや映画、CM、スポーツ中継など数多くのタイアップ曲を手がけてきた。2021年にはドラマ『にじいろカルテ』の主題歌として「旅路」を書き下ろし、自身初のタイアップ作品として台本を読み込んだ末に楽曲を完成させたという。2023年のドラマ『いちばんすきな花』主題歌「花」、2024年公開の映画『四月になれば彼女は』主題歌「満ちてゆく」、2021年のHonda「VEZEL」CMソング「きらり」など、いずれも作品世界と丁寧に向き合いながら書き下ろされた楽曲であり、映像作品とあわせて楽しむことでより深く魅力を味わえる。
聴くポイント
- — 映像作品のテーマに寄り添いながらも藤井風らしさを失わない楽曲づくり
- — ドラマ、映画、CMと幅広いタイアップ実績
こんな人におすすめ
- — ドラマや映画の主題歌から好きなアーティストを見つけたい人
- — CMソングをきっかけに気になった人
ネクストステップ
タイアップ曲を入り口に、アルバム収録曲へと聴き進めるのもおすすめ。
05
国内から世界へ 一気に活動の幅が広がった時期
2022年3月にリリースされた2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』は、1stアルバムのメッセージと呼応する「全てを愛し、全てに仕えよ」というテーマを掲げ、Billboard Japanの総合アルバムチャートで再び1位を獲得。同年発表の新曲「grace」は「すべての人に才能がある」というメッセージを込めた楽曲で、インド文化への敬意を感じさせる壮大なミュージックビデオも話題となった。2023年には、バスケットボールワールドカップ2023のテレビ中継テーマソングとして、ドレイクやケンドリック・ラマーらを手がけるDahiをサウンドプロデューサーに迎えた「Workin' Hard」を発表し、これまでとは異なるサウンドアプローチにも挑戦している。2024年には自身初の米国ツアーや、2日間で14万人を動員した日産スタジアムでのワンマンライブなど、国内外でのライブ活動も大きく拡大した。
聴くポイント
- — 「全てを愛し、全てに仕えよ」というテーマを掲げた2ndアルバム
- — Dahiを起用した「Workin' Hard」でのサウンドの変化
こんな人におすすめ
- — 藤井風の国内での飛躍期を追いたい人
- — R&Bやヒップホップ的なサウンドプロデュースに興味がある人
ネクストステップ
海外進出が本格化する『Prema』時代の楽曲にも注目してみよう。
06
挑戦のアルバム『Prema』と現在の活動
2025年9月5日リリースの3rdアルバム『Prema』は、藤井風にとって初めての全編英語詞によるアルバム。タイトルの「Prema」はサンスクリット語で無私の、霊的な、至高の愛を意味する言葉で、本人はこの言葉を大切にしてきたと語っている。プロデューサーには韓国の250(イオゴン)を迎え、リードトラック「Hachikō」はTobias Jesso Jr.との共作で、渋谷の忠犬ハチ公の物語をモチーフにした楽曲。2025年2月には配信限定シングル「真っ白」、翌3月には関連曲を収録したEP『真っ白』もリリースしており、『Prema』へと向かう時期の楽曲としても位置づけられる。2026年にはイギリスのシンガーソングライター、エルミーンとのコラボレーション曲「Comets + Gold」を発表するなど、国境を越えたコラボレーションにも積極的に取り組んでおり、コーチェラへの出演やPrema World Tourの開催など、活動の舞台は着実に世界へと広がっている。
聴くポイント
- — 自身初の全編英語詞アルバムへの挑戦
- — 海外アーティストとの積極的なコラボレーション
こんな人におすすめ
- — 最新の藤井風を聴いてみたい人
- — 海外アーティストとのコラボレーションに興味がある人
ネクストステップ
気になった時代の楽曲から、ぜひアルバム単位でも聴き進めてみてほしい。
Choose Your Route
あなたの好みから選ぶ
ピアノ弾き語りやバラードが好きな人
静かで繊細なピアノの表現力を味わいたい人には、以下の楽曲がおすすめ。

grace
スタジアムライブではピアノ一台のアレンジ「Summer Grace」として演奏されるなど、静謐な表現力が際立つ楽曲。

満ちてゆく
映画『四月になれば彼女は』主題歌として書き下ろされた、柔らかなピアノの旋律が印象的なバラード。
ソウルやグルーヴ感のある曲が好きな人
踊れるビートやソウルフルな歌声を楽しみたい人には、以下の楽曲がおすすめ。

きらり
Honda「VEZEL」のCMソングとして書き下ろされた、明るくキャッチーなグルーヴが魅力の楽曲。

Workin' Hard
ドレイクやケンドリック・ラマーらを手がけるDahiがサウンドプロデュースを担当した、これまでと異なるビートが新鮮な楽曲。
洋楽や海外コラボレーションに興味がある人
藤井風の国際的な活動に触れたい人には、以下の作品がおすすめ。

Prema
自身初の全編英語詞によるアルバムで、リードトラック「Hachikō」はTobias Jesso Jr.との共作。

Comets + Gold
イギリスのシンガーソングライター、エルミーンとのコラボレーションシングル。
ドラマや映画の主題歌から好きなアーティストを見つけたい人
映像作品とあわせて楽しみたい人には、以下のタイアップ曲がおすすめ。

旅路
ドラマ『にじいろカルテ』の主題歌として、台本を読み込んだ末に書き下ろされた楽曲。

花
ドラマ『いちばんすきな花』の主題歌として書き下ろされた楽曲。
Career Flow
キャリアの流れ
藤井風のキャリアは、地元・岡山でのYouTube投稿から東京進出、国内での急成長、そして海外展開へと段階的に広がってきた。ここではその歩みを時期ごとに紹介する。
2019年〜2020年 デビュー前夜からメジャーデビューまで
2019年春、活動拠点を岡山から東京へ移す。オリジナル楽曲の配信前にもかかわらず、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でのワンマンライブが即日完売するなど異例の注目を集め、ニッポン放送のラジオ番組「藤井風のオールナイトニッポン0(ZERO)」も実現した。同年11月にデジタルシングル「何なんw」をリリースし、翌2020年1月24日、そのミュージックビデオ公開日が公式サイト上で正式なデビュー日とされている。
何なんw EP
2020年 1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』とコロナ禍での活動
2020年5月、1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』をリリース。Billboard Japanの総合アルバムチャートで1位を獲得し、同年10月には日本武道館での初のワンマンライブも成功させた。世界的なパンデミックのさなかに発表されたこのアルバムは、「誰も傷つけず、ただ助ける」というメッセージを掲げ、国内での評価を大きく高めるきっかけとなった。
HELP EVER HURT NEVER
2021年〜2022年 無観客ライブと2ndアルバム
2021年9月、新型コロナウイルスの影響下で、7万人収容の日産スタジアムにグランドピアノ一台のみで挑んだ無観客生中継ライブ「Fujii Kaze“Free”Live 2021 at NISSAN stadium」を開催し、世界的な反響を呼んだ。同年12月にはNHK紅白歌合戦に初出場。2022年3月には2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』をリリースし、文化庁の芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞している。
LOVE ALL SERVE ALL
2022年〜2023年 「死ぬのがいいわ」の海外バイラルヒットとアジア展開
2022年、1stアルバム収録曲「死ぬのがいいわ」がタイを中心に世界的なバイラルヒットとなり、Spotifyのデイリーバイラルチャートで23の国と地域で1位を記録した。同年10月には大阪・Panasonic Stadium Suitaでのスタジアムライブを2日間、計7万人動員で開催し、Netflixで全世界配信された。2023年には7都市11公演の初アジアツアーを実施し、活動の場をアジア全域へと広げている。
grace
2023年〜2024年 米国進出とスタジアムライブでの飛躍
2023年8月、バスケットボールワールドカップ2023のテレビ中継テーマソング「Workin' Hard」をリリース。2024年には自身初の米国ツアーを実施し、8月には2日間で14万人を動員した日産スタジアムでのワンマンライブ、10月から12月にかけては全10都市14公演のアジアアリーナツアーを開催するなど、活動の幅を大きく海外へと広げた一年となった。
Workin' Hard
Fujii Kaze Stadium Live “Feelin' Good”
2025年〜2026年 全編英語詞『Prema』と世界へのさらなる挑戦
2025年5月には新設された音楽の祭典「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」で複数部門を受賞し、7月には初のヨーロッパツアー、8月と10月には2度目の北米ツアーを実施。同年9月5日、自身初となる全編英語詞の3rdアルバム『Prema』をリリースした。2026年にはイギリスのシンガーソングライター、エルミーンとのコラボレーション曲「Comets + Gold」を発表し、Prema World Tourの開催やコーチェラへの出演など、世界的なアーティストとしての活動を続けている。
Prema
Comets + Gold
Conclusion
次の一曲へ
YouTubeへのピアノカバー動画の投稿から始まり、岡山弁の歌詞で国内を驚かせ、やがてタイでのバイラルヒットや全編英語詞のアルバムで世界へと活動の場を広げてきた藤井風。ジャンルや言語の壁を越えながらも、幼少期から磨いてきたピアノの表現力と、誰かを想う優しいメッセージ性は一貫している。どの時代の楽曲から聴き始めても、その核にある人柄と音楽性にきっと出会えるはずだ。
参考情報
- Profile | Fujii Kaze OFFICIAL SITE — HEHN RECORDS / UNIVERSAL MUSIC
- Home - Fujii Kaze OFFICIAL SITE — HEHN RECORDS / UNIVERSAL MUSIC
- 藤井風のプロフィール — oricon ME
- 藤井風 - Wikipedia — Wikipedia
- 藤井 風 初のオリジナル楽曲「何なんw」が本日より配信開始、東京、大阪Zeppワンマンライブも決定 — SPICE (2019-11-18)
- 藤井風、Honda「VEZEL」テレビCMに新曲「きらり」書き下ろし(動画あり / コメントあり) — 音楽ナタリー
- 藤井 風、高畑充希主演『にじいろカルテ』で初のドラマ主題歌担当 — oricon ME
- 満ちてゆく - Wikipedia — Wikipedia
- 真っ白 (曲) - Wikipedia — Wikipedia
- 藤井 風、「grace」で迎えた転換点をリリースから1年の今あらためて考える 外との繋がりで手にした新たなフェーズ — リアルサウンド (2023-10-11)
- 藤井 風、新曲“grace”MV公開 — TOWER RECORDS ONLINE (2022-10-13)
- 藤井 風、10カ月ぶり新曲「Workin' Hard」MV公開 — Rolling Stone Japan (2023-08-25)
- 藤井風×エルミーンがコラボ曲「Comets + Gold」リリース、きっかけは藤井のカバー動画 — 音楽ナタリー (2026-06-19)
- Hachikō - Wikipedia — Wikipedia
- Prema - Wikipedia — Wikipedia
- 藤井 風、9月5 日(金)に 3 年ぶりとなる 3 枚目のスタジオアルバム『Prema』(全英語詞)のリリースが決定し、リード・トラック「Hachikō」の配信がスタート! — encore(USEN) (2025-06-13)
- 藤井 風 ライブBlu-ray&CD『Fujii Kaze Stadium Live “Feelin’ Good”』 — TOWER RECORDS ONLINE
- 藤井 風、エルミーンとの新曲「Comets + Gold」配信リリース&MVプレミア公開 — Billboard JAPAN (2026-06-19)